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[ターゲティング広告まとめ①]オーディエンス・コンテンツ・デバイス・ジオ

2021/04/06

ターゲティング広告とは、サイトやアプリで収集した情報を分析し、ユーザーにとって最適な広告を配信する方法、または、特定の範囲を狙って広告を配信する方法です。

本記事では主にインターネットのバナー広告で使われるターゲティング手法を取り上げています。

ターゲティングの手法は、今回取り上げるバナー以外にもメールやアプリの通知、オフラインでのDMなど様々な広告に使われています。

ターゲティングの種類

広告ターゲティングの種類は、大きく4つに分けられます。

①オーディエンスターゲティング
ブラウザの識別情報(Cookieなど)、アプリの広告識別子(IDFAなど)の閲覧データなどを利用して、特定のユーザーに広告配信する方法です。

②コンテンツターゲティング
特定のコンテンツを持つサイトに広告配信する方法です。

③デバイスターゲティング
PC/スマートフォン、OS、OSバージョン、通信キャリアなど、端末に関する様々な情報からターゲティングする手法です。

④ジオターゲティング
位置情報に基づいて、特定のエリアに広告配信する方法です。

ここからさらに細かく分類されていますので、一つずつ紹介していきます。

オーディエンスターゲティング

デモグラフィックターゲティング

デモグラフィックターゲティングとは、年齢、性別、地域などの属性情報をもとに広告配信する手法です。

属性ターゲティングとも呼ばれており、数あるターゲティングの中でもスタンダードな方法です。

転職の広告であれば「20 〜30代」の属性に、コスメの広告であれば「女性」の属性にターゲティングする、といったことが挙げられます。

サーチターゲティング

インターネットでの検索履歴キーワードをもとに広告配信する手法です。

主に検索エンジンであるGoogleとYahoo!で利用することができます。

「軽自動車 おすすめ」など、特定のキーワードに対してターゲティングすることができます。

インタレストターゲティング

サイトの閲覧履歴などから、ユーザーの趣味嗜好に合わせて広告配信する手法です。

下記のGoogle広告のリンクでは、自分の行動データから一体どれほどの趣味嗜好が推測されているのか、チェックすることができます。

興味のある方は、普段使っているGoogleアカウントにログインしてからクリックしてみてください。

面白い結果が見られると思います。

http://www.google.com/settings/ads

リターゲティング

リターゲティングとは、広告主のサイトに訪れたことがあるユーザーに広告配信する手法です。

「どこかの誰か」ではなく、「一度サイトに訪れているのユーザー」なので、少なくとも自社商品に興味があるユーザーにアプローチすることができます。

通常のリターゲティング広告であるスタティック(静的)リターゲティングに対して、ダイナミック(動的)リターゲティングも存在します。

ダイナミックリターゲティング

ダイナミックリターゲティングは、商品単位のリターゲティングバナーを自動的に作成する仕組みです。

ECサイトのような商品数が多いサイトで、サイトに訪れたユーザーが閲覧した商品1点の情報を取得し、広告を自動生成して表示することができます。

例えば、10000点の商品があった場合、これらの10000点の商品の分だけ画像バナーを制作することは非常に大変な作業になります。

ところが、ダイナミックリターゲティング広告であれば、サイトに訪れたユーザーが閲覧した商品1点の情報を取得し、広告を自動生成して表示することができます。

また、ユーザーに合わせて広告を生成するので、非常に細かいターゲティングが可能になっています。

類似ユーザーターゲティング

類似ユーザーターゲティングとは、「特定の条件に当てはまるユーザー」を基にして、「似ている条件のユーザー」を探し、より拡張した広告配信をする手法です。

「オーディエンス拡張」、または「Look Alike」とも呼ばれています。

特定の条件に限定する配信だと、配信在庫(配信する母数)が少なくなってしまう可能性がありますが、類似ユーザーにまで拡張して配信することによって、無駄なく配信在庫を増やすことができます

クロスデバイスターゲティング

会員情報などのデータを利用し、PC・スマートフォンなどのデバイスを横断したユーザー情報を紐付け、相互間で広告配信する手法です。

通勤中にスマートフォンで興味のある商品のチェックをし、帰宅してからPCで同じサイトを訪れた場合などで広告表示することで、購買率を高めることができます。

予測ターゲティング

サイトで収集した属性データ(年齢、地域、興味など)に対して単純に広告配信するのではなく、そのデータをもとに未来の購買を予測して広告を配信する手法です。

主にAIや機械学習でデータ分析し、未来の行動パターンを予測しますが、人が手を加える場合もあります。

コンテンツターゲティング

サイトカテゴリーターゲティング

サイトカテゴリーターゲティングは、サイトやアプリのカテゴリーで括って広告配信する手法です。

「不動産」、「健康」、「スポーツ」など、大きな枠のカテゴリーでの配信になるので、広くアプローチできるのが特徴です。

サイトターゲティング

サイトターゲティングとは、任意のサイトやアプリに広告配信する手法です。

「RPGゲームアプリの広告はRPGゲーム攻略まとめ系サイトに広告を表示する」といったように、上記のサイトカテゴリーよりさらに限定したターゲティングになっています。

コンテキストターゲティング

コンテキストターゲティングとは、サイトに表示されているキーワードなどをAI が抽出し、文脈(コンテキスト)に沿った広告を表示する手法です。

例えば、豆腐レシピが表示されているWebページの場合であれば、文脈に沿って「ダイエット」や「健康」関連の広告が表示されます。

デバイスターゲティング

デバイスターゲティングは、端末にある情報を取得し、ターゲティングする手法です。

イメージとしては、「スマホアプリ」はスマートフォン端末に広告を表示し、「PC用ブルーライトカットメガネ」であればPC端末に広告を表示する、といったものです。

その他にも、iOSとAndroidを識別したり、800×1200の画面サイズにターゲティングといったことも可能です。

ジオターゲティング

GPS、Bluetooth、Wi-Fi、Beaconなどの位置情報技術を利用して、特定のエリアにいる端末に広告配信する手法です。

スポーツ観戦に来ている人に向けて、スタジアムの中にある端末に広告配信をしたり、飲食店の最寄り駅周辺にクーポン付きの広告配信をする、といった場合で利用されています。

今までのターゲティングと、これからのターゲティング

今までのターゲティング

ターゲティング広告の手法が最初に生まれたのは、2000年のアメリカと言われています。

それから7年後の2007年、日本ではYahoo!JAPANがターゲティングのネットワーク配信サービスを開始しました。

この頃は人の行動履歴データに基づいてターゲティングされていたので、「行動ターゲティング」と呼ばれていました。

程なくして、ターゲティング広告の転機となった事柄の一つが起こります。

それが、ダイナミックリターゲティングの登場です。

2011年にフランスのcriteo社が日本オフィスを設立し、ダイナミックリターゲティングを瞬く間に浸透させていきました。

当時革新的だったこの手法は、今現在でも主流のターゲティングとして利用されるようになりました。

しかし、ターゲティング広告界第二の転機となったのは、2020年のGoogleの発表である「サードパーティCookie廃止の方針」です。

参考:impress「サードパーティークッキーとは

これまでのオーディエンスターゲティング広告では、ターゲティグするユーザーの識別にサードパーティCookieが主に利用されてきました。

Appleでは、ユーザーのプライバシー保護を理由にSafariで17年からITPという取り組みを行っており、サードパーティCookieでの追跡を制限しています。

Googleも2022年を目処にサードパーティCookieのサポートを終了する方針を発表しました。

プライバシーや個人情報保護への関心の高まりから、ターゲティング広告業界は大きな路線変更を余儀なくされたのは間違いありません。

これからのターゲティング

広告界を牽引してきたターゲティング広告が変化することは、紐づいているあらゆる企業の変化になり、それは社会の変化に繋がってくる可能性があります。

このような複雑に絡み合っているターゲティング広告の未来を考えるためには、いくつかのキーワードから理解していく必要があります。

しかし、この記事を執筆している現在、予想以上にボリュームが大きくなってしまったので、ここからの内容は次回記事に持ち越したいと思います。

次回では、企業側の観点から、ユーザーの個人情報保護の観点まで、広く紹介していく予定です。

これからのターゲティング広告はどのようになっていくのでしょうか。

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