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新しい広告と生活を考える[デジタルサイネージ、VR・AR、O2O、IoT、音声]

2021/03/24

新聞広告やテレビ広告全盛期の時代では、これらのマスメディアによって日本の文化が作られてきた側面があります。

大きな広告プラットフォームは私たちの生活様式や文化にまで影響を与え、社会を作っていきます。

近年では、インターネットという広告プラットフォームがその立場を担うようになり、PC・スマートフォンで毎日何かの広告を目にしていると思います。

そこで、本記事では今後の市場拡大が予想される次世代の広告をまとめてみました。

果たして、2021年以降の広告と私たちの生活はどのように変化していくのでしょうか。

XR広告(VR・AR・MR広告)

VR(バーチャル・リアリティ)、AR(オーギュメンテッド・リアリティ)、それらを混ぜ合わせているMR(ミックス・リアリティ)などを総称したものをXRと呼びます。

ゲームやアプリで使われることが一般的だったXR技術も、広告として利用されるようになってきています。

VR広告

ゲームなどで利用されるVR空間に表示される広告です。

徐々にVR広告専門のネットワークも広がってきており、スマートフォンでのVR広告導入のハードルが下がれば、一気に市場が拡大するだろうと言われています。

VRize AdAdvertyといったVR広告の企業のほか、FacebookやgoogleのようなプラットフォーマーもVR業界に参入してきています。

また、広告色を薄め、デザインに溶け込むような広告の考え方で「ネイティブ広告」というものがありますが、VRの空間でもネイティブ広告が使われてきています。

VRゴーグルの視線認知センサーにより、ネイティブのような広告であっても広告効果のデータを計測することが可能になっているようです。

AR広告

スマートフォンなどの画面越しに3Dを描写し、現実世界を拡張できるAR技術を利用した広告です。

コスメ商品をタップすると自分の顔に反映されているのを確認できたり、ファッションの試着をすることができたりします。

購買に対して直接的な体験を促すことができるので、ECサイトでの導入を検討する企業が増えてきています。

また、ARはスマートフォンとの親和性が高く短い動画コンテンツにしやすいため、SNSでシェアされやすいメリットがあります。

デジタルサイネージ広告

最近、街に至るところにデジタルのディスプレイが設置されているのをご存知でしょうか。

駅構内の柱、タクシー、美容院、エレベーター、居酒屋のメニュー端末など、あらゆるところに設置されているこれらのディスプレイを「デジタルサイネージ」と呼んでいます。

今まで「木の看板」や「紙のポスター」で広告されてきた部分がデジタルに置き換えられたことで、何が変化したのでしょうか。

大まかに7つのメリットがあります。

修正が簡単

看板、ポスターなどの広告は、一度入稿して印刷してしまえば、後から変更や修正を加えることはできませんでした。

しかし、デジタルデータであれば、簡単に修正を加えることができます。

人件費の節約

大規模に広告する場合、それを設置するための人件費が必要でしたが、ディスプレイであればデータを切り替えるだけで済みます。

音声や動画を扱うことができる

今まで画像やテキストだけで広告していたものに対して、音声や動画を扱うことができるようになりました。

このようなリッチコンテンツでは、より短時間に情報を詰め込むことができるため、視聴者は直感的に内容を理解できるようになります。

また、テキストが画像のみの広告よりも双方向のコミュニケーションが生まれやすくなり、よりインタラクティブな広告を配信することが可能です。

配信内容の切り替えが簡単

お昼時にはランチに関する飲食の広告を配信したり、連休前には旅行に関する広告の配信など、時間帯や場所での切り替えで最適化を図ることができます。

データを取ることができる

今までの紙媒体では、データを取ってそれを元に改善していくということが難しいとされていました。

しかし、デジタルであればABテストのような計測も、低コストで実施することができます。

それにより、広告の最適化をし続けることができます。

広告ネットワークが利用できる

国内では何十万という単位のデジタルサイネージを管理して、そこに一斉に配信する仕組みも誕生しています。

場所を選ばず、最適な場所で広告を配信することができます。

広告以外でも活躍している

空港や美術館の案内、学校の広報などの商業施設ではない場所でも、デジタルサイネージは利用されてきています。

O2O広告

O2Oはオンライン to オフラインの略で、オンラインを利用した広告施策により、オフラインである実店舗の集客を目的とした広告です。

ここでは代表的な広告手法4つを紹介していきます。

クーポンを発行

一番メジャーに使われているのが、クーポンを発行して店舗に集客する方法です。

即効性があるため、タイミングを狙って使いやすいのが特徴です。

そのため、売り上げが落ちそうな雨の日を狙うなどが可能です。

ゲーム性を持たせる

アプリ内にあるゲームをクリアしたらクーポンがもらえる仕組みや、くじ引きなどのゲーム性を持った形で専用ポイントを発行する方法です。

楽しんでもらうことで、ポジティブなイメージのブランディングをすることが可能なことと、広告色を薄める効果があります。

SNS利用

SNSで特定のハッシュタグを付けて投稿してくれたユーザーに対してクーポンを発行する、などといった方法です。

しかし、広告一辺倒のSNSアカウントはユーザーが嫌う傾向にあるので、企業や人の魅力を載せた情報も合わせて発信していく必要があります。

GPS・Beaconを使う

位置情報技術のGPSやBeaconを利用した方法です。

具体的には、店舗の半径10メートル以内に入った人に対してクーポンを発行する、といったことが可能です。

時間帯や言語など、細かいターゲットも可能になっています。

IoT広告

IoTとは、Internet of Thingsの略で、家電や車、靴から時計まで、あらゆるものがインターネットに繋がっていることを指します。

IoTと広告が組み合わさると、どのようなことがことが可能になるのでしょうか。

これまでにない広告マッチング効果と、現状の問題点

IoTと広告が組み合わさることで発揮する一番の強みは、ユーザーに対する詳細な広告アプローチが可能なところです。

例えば、冷蔵庫に必ずストックしてある牛乳があるとします。

毎回牛乳がなくなる度に買い足されていれば、その行動をIoTの冷蔵庫は学習します。

そして、今度は牛乳がなくなる前に広告としてお知らせしてくれます。

その他にもエアコンの温度調節から予測される広告や、Apple Watchのような時計型のIoT製品では健康に関するパーソナルデータから広告が表示される可能性があります。

IoTと広告が組み合わされば、非常に細かいニーズに応えてくれる可能性がある一方で、プライバシーの保護上の問題が懸念されています。

いくら便利になるとはいえ、あらゆる生活のデータが収集されることに対して嫌悪感を抱く人も少なくないでしょう。

この問題を解決できれば、IoT広告は急速に広まっていくことが考えられます。

音声広告

SNS内で声優が喋る広告や、音楽ストリーミングサービス内で流れる音声広告などがあります。

音声の広告自体はラジオなどで利用されてきた歴史があるので、新しい技術という感じがしないかもしれません。

しかし、近年ではSNSの流行、スマートスピーカーの普及、オーディオブックの登場など、音声を活用する場面が生活に多く入り込んできた経緯があります。

そのため、音声による広告が新たに注目を浴びています。

まとめ

ここ数年で台頭してきた広告は、一方的に表示される広告ではなく、ユーザーの五感の体験が発生するものや、相互コミュニケーションが発生する広告が発展してきているようです。

そうすると、2020年に明治大学の宮下芳明教授が発表した「味ディスプレイ」のようなテクノロジーも、五感を体験する広告に繋がってくる予感をさせます。

また、タッチパネルのコミュニケーション型デジタルサイネージが増えてくる可能性や、スマートスピーカーと会話をしながら提案される音声広告が増える可能性があるかもしれません。

これらを言い換えるならば、広告のエンターテイメント化が進んでいく可能性があるということでしょうか。

テクノロジーの発展により、嫌悪されていた広告が生活に馴染んで受け入れられていく未来があるのかもしれません。

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