【心霊其の一】闇に消えた先行車
今から10年くらい前。まだ僕が高校生の頃の話。
妹と僕は叔父の運転する車に便乗して田舎(母、叔父の実家)に遊びに行った。
僕たちにとっては久しぶりの田舎という事で少し興奮気味に車に乗りこんでいた。
「早く着かないかなぁ」と思いながら数時間、高速道路を走っていた。ふいに「○○IC」という看板が目に飛び込んできた。目的地はもうすぐだ。

ICを降りて一般道へ。ここまでは順調な旅だった。
高速から田舎までの一般道は叔父にとっては馴染みのある道路であり、「いつものように」スイスイと車を走らせた。田舎までは数十分。もうそこまで着ている。


「おかしいなぁ・・・」


叔父の口からそんな声が聞こえたのはそれから間も無くの事だった。
「よくわかんないけど、道に迷ったみたい。あり得ない話だが。」
と、叔父は少し焦り気味に車をさらに走らせた。
周りはいつの間にか木々の生い茂る山道になっていた。
前に来た時にはこの辺りにこんな山なんて無かったと思うのに。


見知らぬ山道をもがくように走っていると、やがて目の前に車のテールランプが見えた。真っ暗な闇の中に光るテールランプ。僕たちにとってその灯りは「灯台」のように感じた。

「とりあえずあの車について行こう。山は抜けられるだろう。」
そんな叔父の声に僕たちは少し心が落ち着いた。

それから数分だろうか。前を行く車のテールランプの後を追うように車は走っていた。
周りはより鬱蒼としてきた。「大丈夫だろうか?」一抹の不安を覚えてきたその時、


「あっ!」


それまで煌々と光っていたテールランプが闇に消えた。
「崖にでも落ちたのか?」車を止めて降り、崖の下を見るが、車が落ちた形跡はない。
勿論民家もないし、横道もない。

「あの車は・・・」

釈然としない気持ちと何ともいえない恐怖感に包まれた僕たちは再び車に戻り、急いで車を走らせた。やがて山道は忽然と消え無事に田舎に辿り着いた。 (Takanori)
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